類題タイフーン

 

私自身は塾に通ったことがなかったので、フランチャイズの塾を始めた頃に本部のスーパーバイザーの方の意見をよく聞きました。

 

全国展開している教室数、生徒数ともNo.1を掲げる塾の教室運営と本部でスーパーバイザーを経験された ”塾業界の大ベテラン” でした。

 

 

いろいろ教わりました。

 

生徒の増やし方、季節講習の売り方、コマ数を増やすやり方、ほとんどが(子どもの健全な育成とは真逆の)教室の売り上げをあげる話でしたが、成績の上げ方も教えてもらいました。

 

「定期テストの問題を先生ごとに集めていって、それをテスト前に対策問題としてガンガンさせてください。」

 

「結果を出している塾は、どの先生がどの学校で何学年の何学期に出したテストかまで把握して生徒にさせています。」

 

「技能教科は同じような問題が出るから、過去問を暗記させれば結構いい点がとれます。」

 

私はもともと塾業界の人間ではなく、企業人事で ”人を育てる” 仕事を長年してきた人間なので違和感を感じました。

 

違和感どころか ”嫌悪感” でした。

 

それって全く力はつかないし ”卑怯” だと感じました。

 

勉強ってそういうもんじゃないでしょう?

 

そんなんで点数をとっても意味がないでしょう?

 

そんなことしたら子どものためにならないでしょう?

 

でも、塾業界を知ると「●●校の定期テスト対策、的中率抜群!」などというチラシやそれに飛びつく家庭が結構多いことがわかりました。

 

そうか、あの企業で出会ってきた高学歴の指示待ち人間たちはこういう育ち方をしてきたのかと腑に落ちました。

 

塾だけじゃない

 

ところが、塾だけじゃないことがわかりました。

 

小学校の勉強がそういう表面的なテスト対策中心になっているのです。

 

小学生のお子さんがいる方はご存じだと思いますが、業者の単元テストには出題形式が全く同じで数値だけ違う模擬テストがあります。

 

単元テストとセットで購入する先生が多く、単元テストの前に類題プリントと合わせて練習をさせています。

 

漢字テストも同様ですね。金曜日に50問テストがあるとしたら、水、木の宿題はテスト問題と全く同じプリントを何枚も出されることがあります。

 

私が見た中では最高6枚、テスト問題をコピーしたものが宿題として配られていました。

 

”学力テスト” の対策ではなく、普段の単元テストで類題を何度も何度も直前まで解かせて点をとらせる ”類題タイフーン” が小学校で普段から行われています。

 

”類題タイフーン” の良いところは、わかっていなくても点が取れることです。

 

”類題タイフーン” の悪いところは、わかっていないのに点が取れてしまうことです。

 

勉強は、わかっていないところはしっかり間違えて、その間違えたところを深く理解するのが基本です。

 

わかっていないのに正解してしまったら、後で大変なことになります。

 

実際、小4あたりから ”類題タイフーン” でさえ点数がとれない子が続出し、全然理解していない我が子の状態に ”顔面蒼白” になって塾を探し出す方が実は多いのです。

 

そうならないように気をつけましょうね。