中1ギャップ

中1ギャップという言葉、いつ頃から言われ出したのでしょう。

 

『小学校から中学校に進学した時に、学習内容や生活リズムの変化になじむことが出来ず、虐めが増えたり、不登校になったりする現象のことをいう。』

 

ということのようです。

 

 

優等生も危ない

小学生の間はテストで良い点数ばかり取っていた子たちでも注意が必要です。

 

小学校のように事前にテストの類題で練習をして100点を目指すという(卑怯な)指導はしてくれなくなります。

そういう指導が欲しければ、塾に通い、類題タイフーンで高得点を目指すことになります。

 

それでも、中学からは100点前提のテストではありませんし、教科も多く範囲も広いので、高得点を維持するには多くの勉強時間が必要になってきます。

 

残念ながら、多くの小学校時代の優等生たちは反復学習の量で良い点数をとってきていますので、学習内容の難易度があがると理解できず、反復の時間も量も足りずに失速してきます。

 

 

 

 

当たり前のこと

 

ギャップというと、変化に戸惑う、驚く、不安から、というように何かしょうがないことのような印象ですが、難しく考える必要はありません。

簡単なレベルの問題を、たくさん、繰り返しやって点数をとってきた子が、多少難易度があがっただけで、ついていけなくなるだけですね。

 

考えない学習をずっとやってきた子たちが、多少考えることを求められてついていけなくなるだけですね。

 

テレビやゲーム、与えられた習い事の場などで、ゆがんだコミュニケーションに慣れた子が、多様な人間関係に対応できなくなるだけですね。

 

力にならない繰り返しのドリル学習をさせてきた、親、教師、その他指導者の問題。

 

遊ぶ時間を削って、暗記や計算中心の勉強、習い事、ご褒美のゲームをさせてきた親の問題。

 

それらの問題が表面化したというだけです。

 

もちろん、表面化していない子たちもたくさんいます。

 

 

回避した子

昔、中1にあがった塾生が、

 

「小学生のころから塾に通っているのに、数学一桁の子がいるんですよ」

 

と教えてくれました。

 

『いやいや、お前もそのレベルだったんだけど…』と本気で思いながらも、

 

テスト対策しないで一応平均点を超えたからまずまずかなと言ってあげました。

 

小5で「往復」を理解させるために、教室の端から端まで3週連続で歩かせて、

 

ようやく「片道」「往復」の概念がわかった子です。

 

小5~6の1年半、文章問題で鍛えることができたので、

 

環境設定が出来なかったわりにかなり伸びた子です。

 

低学年からどんぐりに出会っていたら、ゆっくりしたテンポを守れれば、

 

抜群に伸びただろうと思える子です。

 

でも、預かった頃のまま反復の勉強をさせていたら、お友達のことを心配するどころか、

 

かなりの確率で心配される側にいたと思います。

 

 

小1の壁

 

小4の壁

 

9歳の壁

 

壁だらけで大変ですが(苦笑)

 

問題の根っこは同じ。

 

ヒトから人間に育て上げる時期に、

 

やるべきことをせず、

 

させてはいけないことをさせただけ。

 

壁というと、力がつかなくて登れない、越えられないというイメージですが、

 

実際は崖なのかもしれませんね。

 

子どもはみんな「天才」の状態からスタートして、悪しき習慣がついた(つけられた)子が、

 

本来の力を抑えられ、使えなくされ、ボロボロ振り落とされていくんですから。

ブログへのコメント

ブログの古い記事にいただいたコメントを紹介します。

正に知り合いの息子さんが、この中1ギャップです。小学校時代はトップクラスだったのに・・・と本人はもちろん、お母さんもどうしたらいいのか頭を抱えています。

 

金森先生の言われている「悪しき習慣」がこびりついてしまっている子です。

 

理社のテスト勉強は、とにかく書いて覚える方法で何時間も机に向かっていたそうですが、広い期末テストの範囲はとてもカバーしきれなかったようで、撃沈。

 

学校の言うまま親子でまじめに取り組んできて、この結果は悲劇です。

 

せめて現在小3の弟君は少しでも守れるように、日常をゆっくりじっくり味わうことの大切さを伝えましたが・・・痛々しくて、臨界期の事など、詳しいことは言えませんでした。

カバン問題

中1ギャップとは直接関係ないと思われるかもしれませんが、子どもたちが楽しく学校に通うことを邪魔している大きな問題があります。

 

それは中学生の重たいカバン問題です。

 

昔に比べて大きくなった教科書、増えた副教材とノート、勉強道具+カバンだけで8kg~10 kgはあります。

 

さらに、サブバックで部活動の道具や体操服など、 15kgほどの重さの荷物を持って学校に通うということも珍しくありません。

 

体重40kgの子が10kgの荷物を持つと、体重の25% です。

 

体重40kgの子が15kgの荷物を持つと、体重の37.5% です。

 

成長期の子どもたちに毎日背負わせていい重さではありません。

 

しかも、持ち帰る必要のないもの名で持ち帰らなくてはなりません。

 

想像してみてください。

 

職場の荷物を、家で使わないのに全部持ち帰らされる姿を。

 

それが、重くて重くて歩くのさえ大変なくらいの荷物になる訳です。

 

学校に行きたくなくなりますよ。