先取り学習①

 

子どもが生まれて健やかに育つ我が子を見て、「勉強よりもたっぷり遊ばせて育てたい」 と思っていたはずのお母さんでさえ、知らない間に ”先取り学習” の波にのまれていってしまいます。

 

それほど、今は新しいお母さん達を狙った ”先取り学習” の広告が巧みなのでしょう。

皆さんはこれから見る映画の ”ダイジェスト版” を事前に見たいと思いますか?

 

これから読もうとしている本の ”あらすじ” を教えてほしいですか?

 

結末を教わらなければまだいいですが、ネタバレするほど教わったら、つまらないと思いませんか?

 

 

長男に聞いたことがあります。

 

「学校の授業で習う前に勉強している子が多いと思うけど、お前も先に教えてほしい?」

 

返事はこうでした。

 

 

「ただでさえつまらない授業の時間がもっとつまらなくなるから教えないで!」

 

「新しいことを教わる時間だけが楽しいんだから。」

 

 

学校の授業で習うことを先に教えてしまうというのは、そういうことなのです。

 

楽しいはずの映画だって、先にネタバレしてしまえば楽しさ半減です。

 

 

90分の映画を観る前に、15分のダイジェスト版を6回見せられた子は、もうその映画は見終わった気になっています。

 

 

そこで本当の映画をみせられても、すでに何度もみせられて飽きているので、興味を持ってみようとしません。

 

居眠りをしたり、他の音楽を聞いたり、違うことをするでしょう。

 

 

小学校の授業中に同じことが起きています。

 

先取り学習で知っている子たちは先生の説明を黙って聞いていません。

 

 

先生の準備した授業の流れを無視して、知っていることを勝手に発言します。

 

 

「知ってる~ ●●でしょ~」 と勝手に答えてしまいます。

 

先に知っているというだけで、優越感を持たされてしまったのですね。 

 

口に出さない子でも、説明をしている時間にこれからやる演習問題をやっていたり、その日に宿題で出るであろう計算ドリルをやっていたりする子は珍しくありません。

 

 

15分のダイジェスト版を何度も何度も見たから、その映画を ”観た” 気になっているのです。

 

当然、全体の流れや作品の面白さはわかってはいません。

 

 

勉強でも同じです。表面的な計算手順だけを反復で出来るようにしても、その計算の意味や深い理解は置き去りのまま進んでいきます。

 

 

先取り学習を頑張ってきた子たちが高学年で落ちこぼれていく理由のひとつです。

 

 

そういうと、「うちの子は理解に時間がかかるタイプだから、先取り学習をしないとついていけないんだから仕方がない」という声が聞こえてきそうです。

 

 

それでも学校の勉強の先取り学習はしない方が良いです。

 

ただ、普段の生活の中で学校で習うことは体験しておくことは必要です。