自然派保育の罠

 

乳児の頃からテレビに子守をさせず、出来るだけ自然に近い形の子育てを望む家庭は、割合としては少数でも確かにいらっしゃいますね。

 

使い捨てのおむつではなく布おむつ。食事も添加物のないものを選び、ジャンクフードを避け、手作りの食事やおやつを用意する。

 

幼稚園・保育園でも知的学習はさせず、習い事もなし、テレビゲームなんてとんでもない、おもちゃも電子音のする物は与えず、木や紙のおもちゃが中心。

 

我が家も出来るだけメディアを遠ざけ、自然に近い子育てを心掛けていますが、なかなかそこまで徹底出来ていません。

 

そういう子育ては素晴らしいと思います。

 

きっと心も体も健全に育っている事でしょう。

 

何の問題もありません。

 

”小学校に入学するまでは…”

 

そう、小学校が問題なんです。

 

折角子ども本来のペースで健全に育ってきたのに、急に世界が変わるんです。

 

昔だったら ”あいうえお” から ”数の概念” からゆっくり学んでいくところを、周りの子たちは先取り学習をしているのでもう教わっています。

 

入学した時点で ”周りより出来ない” という錯覚に陥り、授業のスピード、練習問題の量とスピードに対応できずに、親子で軽いパニック状態に陥ることになります。

 

本来は、ゆっくり、じっくり育っていく ”後伸び” する子たちが、計算ドリルの反復とマスを埋めるだけの漢字練習で、考えないで答えを出す反射の速さを競わせる勉強で、潰されてしまうケースが後を絶ちません。

 

子どものペースを守り、自分の頭で考えながら学ぶ勉強なら、抜群に賢く育つ子どもです。

 

それが、ただの作業のような学習で ”考えられない” 状態にさせられ、子どもによっては ”癇癪” ”自傷行為” を引き起こしたり、”学校でじっと座っていられない状態” にさせられてしまいます。

小学校に入学するまで、とてもよい育て方をしてきたのに、小学校に入学したとたん ”学校” と ”学校の勉強” が原因で冴えた頭が鈍くなり、情緒が不安定になってしまうのはとても残念です。

 

子どもたちの自由な遊びの社会が減り、学校と学校の勉強のストレスを遊びで消化できない子どもたちの状態は、子どもらしい笑顔が減る、イライラして攻撃的、せかせかしてひねくれる、そういった形で表に出てきます。

 

早めに子どものストレスの元を突き止め軽減させて、遊びと日常生活で工夫する機会が少ない分、良質な学習で補わないと義務教育の勉強程度に躓く ”頭” にさせられてしまいます。